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親子で伝えるヒロシマ 福山の船井さん「若者に関心を」 高校生大使と被爆体験伝承者

 福山市のパート従業員、船井真奈美さん(53)と、長女の英数学館高2年木奈美さん(16)が親子で被爆や戦争体験を学び、発信している。木奈美さんは国内外で核兵器廃絶を訴える本年度の高校生平和大使に選ばれた。真奈美さんは広島市の被爆体験伝承者で、「平和への関心を、若者に高めてもらいたい思いは2人とも同じ」と語る。

 平和大使は8月にスイス・ジュネーブの国連欧州本部に出向く。英検準1級の娘は「核の脅威が迫っていることを自分の声で伝える」と話す。一方、県東部では初の伝承者の委嘱を4月に受けた母は「特に地元の中学校や高校に出向きたい」と意気込む。

 広島市中区出身の真奈美さんは学校の平和教育で原爆を学んできた。約15年前に福山市に転居し、県内でも知識の差があると感じたという。「娘に正しく被爆の実相を教えたい」と約2年半、広島市に通い、娘と同世代の14歳で被爆した証言者の体験を受け継いだ。

 木奈美さんは2014年に福山市人権平和資料館の市民向け講座に真奈美さんと参加、被爆者の証言を聞くなどした。翌年は同館の若者向け講座「ふくやまピース・ラボ」でも学び、福山空襲や福山海軍航空隊など地元の戦争史を調べた。普段から家庭でもニュースを見て語り合うという。

 ピース・ラボでは昨年、若者向けに戦争映画の上映会を企画したが、学生の来場はなかった。木奈美さんは同世代にどう訴えるか模索する。「大使として活動することで発信力が強まるはず」と力を込める。(高本友子)

(2017年5月1日朝刊掲載)

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