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サラエボ支援 教材楽器募る 広島の市民団体 29日に演奏会

■記者 永里真弓

 広島市の市民団体が、ボスニア・ヘルツェゴビナの音楽教育復興へ向け、教材の楽器を募る活動を始めた。「サラエボに音楽を」が合言葉。29日は東区民文化センターで、サラエボ交響楽団の指揮者エミール・ヌハノビッチさんが出演するチャリティーコンサートを開く。

 市民団体は、特定非営利活動法人(NPO法人)「ANT-Hiroshima」(アント)と、音楽企画グループ「マイ・ハート・コンサート推進委員会」。

 年内まで楽器の提供を新品、中古品を問わずアントの中区八丁堀の事務所で受け付ける。金管楽器が特に不足しているほか、寄付金を呼び掛けている。楽器は現地に送り、ヌハノビッチさんが近く首都サラエボとツズラの2カ所に創設する子ども音楽学校の教材として活用する。

 ボスニア紛争(1992-95年)では、多くの音楽家と楽器を失った。サラエボ交響楽団は当時、首都を包囲したセルビア人勢力から砲撃される中、国立劇場にろうそくをともして演奏会を続けたことで知られる。楽団員は約110人。テロ犠牲者や被爆者にささげる演奏会も続ける。

 ヌハノビッチさんは九九年、広島市に12カ国、40人の演奏家を集めた世界音楽祭「オーガスト・イン・ヒロシマ」に参加。その経験も踏まえ「サラエボの包囲も、広島の原爆投下も、市民を標的にしたテロ行為だ」と訴えている。

 今回は国際交流基金の招きで来日。強い希望で25-30日、広島に滞在する。99年に訪れた原爆養護ホーム舟入むつみ園(中区)で再び、クラリネットを奏でる。

 コンサートでは、ビオラ奏者沖田孝司さんたち地元音楽家4人と共演する。定員141人。入場料1500円。収益金は楽器調達に充てる。アントの渡部朋子代表理事は「広島とサラエボは痛みを共有している。これからは希望を共有したい」と願う。アントTel082(502)6304。

(2008年11月20日朝刊掲載)

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