×

ニュース

被服支廠 40人惨禍巡る 広島市内

 広島市内の被爆建物や原爆犠牲者の慰霊碑を巡るピースウオークが4日、中区などであった。約40人が街に刻まれた惨禍の跡をたどった。

 参加者は4班に分かれ、平和記念公園(中区)を出発。ボランティアの案内で、平和大通りに点在する慰霊碑や全国各地から贈られた樹木を見て回った。

 最後に被爆建物の旧陸軍被服支廠(ししょう)(南区)を訪れ、特別に内部へ入った。天窓から光が差す3階で、救護所になった被服支廠の惨状を描写した峠三吉の詩「倉庫の記録」を全員で朗読した。

 市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」代表の中西巌さん(87)は、やけどを負った人をこの建物で救護した体験を語り、「声なき証言者である建物を保存し、活用するため力を貸してほしい」と呼び掛けた。

 今年で6回目。3回目の参加という安芸区の田中政秋さん(59)は「毎回新しい発見がある。伝え残す大切さに気付かされる」と話していた。(川上裕)

(2017年5月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ