×

ニュース

放射線の遺伝影響不安 広島地裁初弁論 被爆2世援護訴訟

 国が被爆2世への援護措置を怠っているのは違憲として、広島や山口など5県の被爆2世22人が1人当たり10万円の慰謝料を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、広島地裁であった。原告側は放射線被害の遺伝的影響への不安を訴え、国側は請求棄却を求めた。

 原告と代理人弁護士の計3人が意見陳述。母が広島で入市被爆した全国被爆二世団体連絡協議会(二世協)の平野克博事務局長(59)=廿日市市=は「原爆投下から70年以上が経過し、なぜ2世は不安が解消されないまま生き続けなければならないのか」と強調。肝臓がんで被爆者の父を亡くした中学校教諭占部正弘さん(58)=福山市=も「自分もがんになることが1番の心配事」と訴えた。

 国側は答弁書で「追って準備書面で主張する」とした。

 訴状によると、日本遺伝学会の見解や各種の研究で、発がんリスクの増加など被爆2世への遺伝的影響の可能性が指摘されていたのに、国は被爆者援護法を適用せず、他の援護措置も怠ったと指摘。発病を恐れる精神的苦痛を常に被っているとして、慰謝料の支払いを求めている。

 原告側は山口県の男性1人の追加提訴を予定している。(有岡英俊)

(2017年5月10日朝刊掲載)

年別アーカイブ