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広島の平和公園 折り鶴活用進む 3月末 保管量ピーク比4割減

名刺や折り紙加工 商品化が加速

 平和記念公園(広島市中区)の原爆の子の像にささげられた後、市が保管している折り鶴の量が減っている。3月末時点で60.6トンと、ピークの2012年同期と比べ4割減少した。同年5月に始めた希望者への無償配布が、持参量を上回るペースで推移しているのが要因だ。(奥田美奈子)

 無償で配られた折り鶴は、国内外のイベントで再展示されたほか、再生紙に加工して名刺や折り紙などとして商品化する動きが加速している。市は13年2月、「折り鶴再生品」を示すロゴマークを作るなど、企業や個人の取り組みを後押ししてきた。

 市は、折り鶴の永久保存と長期展示にこだわった秋葉忠利前市長時代の02年度から、原爆の子の像への持参分を市の遊休施設で保管。12年3月末には97・4トンまで膨らんだ。11年4月に就任した松井一実市長は方針を転換し、受け取りを希望する個人や団体への無償配布を始めた。

 12年度は22・4トンを配った。13年度は11・9トンに半減したが、商品化の動きが広がるなどして15年度は最大の23・3トンを記録。16年度も17・5トンだった。

 これに対し、新たに寄せられた折り鶴は年間10・9~12・1トンで、配布量を下回る状況。あと10年程度で「ストック」がなくなる計算だ。

 障害者向け作業所と連携し、折り紙などに加工する紙器メーカーのトモエ(安佐南区)の高丸晃会長(74)は「障害者の就労支援で大切な仕事の一つに育った。平和発信にもつながり、長く続けたい」と話す。

 市は「無償で配ることが本来の目的ではない」としつつ、配布先が一部に偏らないよう「今後は1カ所に配る上限を設ける可能性がある」と説明している。

(2017年5月11日朝刊掲載)

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