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核廃絶で「緊張関係」 松井広島市長 国家間の対立指摘

 米国の現職大統領としてオバマ氏が広島を訪問してから27日で1年になるのを前に、広島市の松井一実市長は12日、核兵器廃絶を巡って保有国と非保有国が「緊張関係」にあると指摘した。取り組みが後退しないよう被爆者の平和への思いを市民社会の共通の価値観として広めたいとした。

 松井市長は記者会見で、3月に始まった「核兵器禁止条約」の交渉会議に不参加の保有国などは自国の利益を優先していると分析。一方、条約で核兵器に「汚名」を着せて保有国に廃絶の圧力をかけるという非保有国の姿勢への懸念から「片方は軍事力、片方は道徳論で抑止し、緊張関係をつくっている」と述べた。

 その上で「被爆者の思いが市民社会の共通の価値観になり、世界の為政者を動かすものになるようにしたい」と強調。著名人や、「オバマ財団」など社会活動を支援する組織との連携に期待した。

 また、今月上旬にオーストリア・ウィーンに出張した際、2020年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会の会場で米国のロバート・ウッド軍縮大使と話し、確実な軍縮推進を求めたと明かした。(岡田浩平)

(2017年5月13日朝刊掲載)

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