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被爆67年 あの日の衝撃 布絵芝居に

 広島原爆の日の6日、惨禍に巻き込まれた人々の冥福や平和への祈りが広島市や周辺で続いた。あの日から67年。被爆者の高齢化が進む中、体験の継承や核兵器の廃絶を目指すイベントも繰り広げられた。

 布絵・紙芝居作家森本マリア(本名新谷幸枝)さん(78)=広島市安佐北区三入南=が、同区の大林小で自作の布絵芝居を上演した。実体験を基に、原爆投下直後に三入地区まで避難して亡くなった被爆者たちを描き、命の尊さを訴えた。

 全学年の児童57人を前に、森本さんは布絵芝居「音が消えたそのあと」を上演。けが人だけでなく、原爆に遭いながら無傷だった疎開児童も亡くなったと伝え、核兵器の恐ろしさを訴えた。

 幕あいには特攻隊について語り、「味方も敵も同じ人間。命の重さに違いはない」と強調した。6年上野凜さん(11)は「命は宝物。大切にしたい」と話していた。

 布絵芝居は、森本さんが福島第1原発事故で故郷を追われたままの避難者を思い、昨年作った。森本さんは「放射能汚染の怖さを伝えたい。生きていくことの大切さにも気付いてもらえれば」と力を込めた。(畑山尚史)

(2012年8月7日朝刊掲載)

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