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「自然エネルギーに移行、自然な流れ」 脱原発依存に溝口知事理解

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)が立地する島根県の溝口善兵衛知事は7日の記者会見で、福島第1原発事故を受けて政府が示す新たなエネルギー政策について「安全な自然エネルギーに移行していくのが自然な流れ」と述べ、脱原発依存の方針に理解を示した。

 ただ「(移行の)スピードは議論を要する」とし、政府が2030年の原発比率として示す3案への支持は明言しなかった。

 3案に関する意見聴取会で参加者の約7割が「原発比率0%」を支持したことについては「多くの人が安全性を危惧していることの表れ」と分析。原発比率を決める際には「国民自身がどう考えているのかが大事な要素」とし、聴取会の意見を尊重する必要性を指摘した。

 決定の判断材料として、原発の安全確保に向けた手法と、燃料調達コストの変動など経済への影響を十分考慮することも政府に求めた。

 政策の決定時期が当初予定の8月末までからずれ込む可能性が浮上したことに対しては「(検討の)時間がいる」とし、議論の深まりを優先する考えを示した。(樋口浩二)

地元の範囲 国が決定を 再稼働で注文

 島根県の溝口善兵衛知事は7日、中国電力が島根原発再稼働に向けて事前了解を取り付けるべき周辺自治体の範囲について「地元の了解をどこまで得るのか、国が決めないといけない」と述べた。

 溝口知事は、被害が広範囲に及んだ福島第1原発事故を重視。「(周辺自治体が事故の際)影響をこうむる。準備や態勢づくりが必要になる」として、立地自治体と同様に再稼働を判断する権限を持つことが望ましいとの考えを示した。

 その上で、了解を取るべきエリアは再稼働に向けた「非常に重要な要素」と強調。「エネルギー政策を担う国が、責任を持って再稼働への枠組みをつくるべきだ」と、国主導での線引きを求めた。

 この日の記者会見で述べた。島根原発30キロ圏の出雲、雲南、安来の3市は2月、県に対し、再稼働の判断に3市の意向を反映させるルールづくりを求めている。(樋口浩二)

(2012年8月8日朝刊掲載)

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