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兵士の無事 託した一枚 岩国で「戦争展」

 太平洋戦争時、「弾よけ神社」とも呼ばれた三坂神社(山口市徳地岸見)に奉納された岩国市出身の兵士の写真が、10~12日に岩国市民会館である「平和のための戦争展」で公開される。戦地からの帰還を願って託された252枚。写真展を企画する新日本婦人の会岩国支部が親族への返却を橋渡しする。(酒井亨)

 軍服のりりしい少年や、妻と写った青年の姿がセピア色になって残る。神社で撮影した複写品を旧岩国市や玖珂町、由宇町など地域別に展示。発見の手掛かりとなるように奉納時の封筒に記された名前を添える。

 三坂神社は、日清、日露戦争の際に神社へ参拝した兵士の大半が無事に帰ってきたと伝えられ、戦時中の1941年ごろから写真を奉納する人が増えたという。戦後、約8千枚を家族らに返したが、いまも約1万2千枚を保存する。佐伯治典宮司(83)は「家族が高齢化したせいか、返却数がだんだん減ってきている」と話す。

 平和ツアーで神社を訪れた婦人の会が宮司の思いをくんで複写、2004年から写真展を計4回開催。これまでに105枚が関係者の元に返った。初回から展示に携わるメンバーの山中式代(のりよ)さん(52)=岩国市室の木町=は「戦後67年がたっても、戦争は写真の家族や親族の人生に大きく影響している。見に来てもらって一枚でも多く届けたい」と願う。

 戦争展は市民団体や労働組合などでつくる実行委員会が主催。戦争体験を聞く会や、弾の痕が付いた鉄かぶとなどの展示もある。無料。

(2012年8月9日朝刊掲載)

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