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ハンガリー 初の原爆展 被爆者証言や遺品公開 広島市と長崎市 来月から

 広島市は6月1日から5カ月間、長崎市とともにハンガリーの首都ブダペスト市で「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」を開く。同国では初めての開催。開幕に合わせ、広島市の被爆体験証言者として活動する西区の被爆者、梶本淑子さん(86)らを派遣する。

 会場は、かつての地下壕(ごう)で第2次世界大戦中に軍事病院として使われ、今は戦時下の様子を伝える「岩の病院・核の避難所博物館」。弁当箱やベルトなど原爆で犠牲になった動員学徒の遺品など実物資料を公開し、昨年5月に広島を訪れた米国のオバマ前大統領が持参した折り鶴1羽も展示する。

 被爆の実態を伝える写真パネルのほか、ハンガリー語訳を付けた被爆証言ビデオや被爆体験記も見てもらう。さらに梶本さんは市内の大学など別の会場で計3回、14歳の時に爆心地から2・3キロの動員先の工場で被爆した体験を語る。

 広島市の原爆資料館(中区)は、戦争をテーマにした海外博物館との長期的な連携を視野に入れている。所蔵品の貸し借りや職員の相互派遣などについて、現地に赴く志賀賢治館長が会場の博物館長と話し合う。資料館啓発課は「博物館同士の連携によって、平和を訴える力を強めたい」と期待している。

 海外での原爆展は被爆の実態を広く伝え、核兵器廃絶の世論を高める目的で、被爆50年の1995年に米ワシントンのアメリカン大で最初に実施されている。これまで16カ国の45都市で延べ52回開いた。

 本年度にはブダペスト市に加え、11月には旧ユーゴスラビアのモンテネグロで初めて、コトル市で開く。(野田華奈子)

(2017年5月29日朝刊掲載)

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