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　呉市は２９日、旧海軍の宿泊施設だった幸町の青山クラブを国から取得した後、建物の保存、活用を含めて今後の方向性を判断する意向を明らかにした。市はこれまで、建物の老朽化が激しいため、解体して駐車場にする構想を示していた。建物はアニメ映画「この世界の片隅に」にも描かれ、保存を求める声が上がっている。（浜村満大）

　市企画部が市議会総務委員会で説明した。青山クラブについて「部分的な保存などの可能性を検討する」と報告。大和ミュージアムの関連施設としての整備を選択肢の一つに挙げた。市議からは「観光の呼びものになる」などの意見が出た。市は今後、保存にかかる経費の試算を市議会に示す。

　青山クラブは１９０３年に旧海軍の集会所として開設された。鉄筋地下１階、地上３階建て。「この世界の片隅に」で「下士官兵集会所」として登場し、全国からファンが訪れている。

　市は本年度、青山クラブと隣接する桜松館を買い取り、基本計画をまとめる。構想では、桜松館は特産品を提供する飲食店などに整備する。市企画課の久保隆弘課長は「どう整備するかはまだ決まっていない。市議会などの意見を踏まえ考える」と話している。

（２０１７年５月３０日朝刊掲載）