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三次捕虜収容所 スケッチ オランダ人の鉛筆画 市にコピーを寄贈

 太平洋戦争中に三次市三次町にあった、「三次捕虜収容所」に収容されたオランダ人の故ヘリット・クーフェルデンさん(1979年死去)が描いた当時の収容所のスケッチのコピーが31日、同市立図書館に贈られた。収容所の内部や周辺の風景を記録した資料は珍しく、三次地方史研究会の米丸嘉一顧問(81)は「三次の当時の様子を研究する上で貴重な資料」と指摘している。(八百村耕平)

 三次市史によると、三次捕虜収容所は、現在の愛光保育所の場所に開設。1942年12月~45年9月の間、インドネシア近海を航海中に日本軍に拿捕(だほ)されたオランダ軍の病院船の乗組員44人を収容した。医師として乗船していたクーフェルデンさんも入っていた。

 寄贈されたのは鉛筆画のスケッチのコピーでA4判10枚。収容者の上着が干された部屋の内部や、勝手口に座っている収容者の姿、収容所の窓から見たと思われる尾関山周辺の風景などが描かれている。

 クーフェルデンさんの息子のヤンさん(78)にコピーを託された、民間人の抑留所を研究する小宮まゆみさん(65)=横浜市=がこの日、同図書館を訪れ寄贈。スケッチのコピーの他、収容所でのチェス大会で優勝した時の賞状もある。

 昨年6月にアムステルダムであったシンポジウムで、小宮さんと知り合ったヤンさん。「地元の人に父の過ごした収容所の生活、当時の戦争の歴史を知ってほしい」と三次市を直接訪れ、手渡す予定だった。しかし体調不良のため断念し、コピーを小宮さんに託した。

 同図書館の有光七重館長(51)は「ヤンさんの思いを酌み、精いっぱい住民に伝えていきたい」と話す。同館では、6日からスケッチのコピーを展示する予定だ。

(2017年6月1日朝刊掲載)

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