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「移転には協力すべき」「騒音や墜落危険増す」 艦載機問題 岩国市議会全協で賛否

住民投票要求も

 「移転には協力すべきだ」「騒音や墜落の危険が増える」―。岩国市の米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転計画を巡る31日の市議会全員協議会。発言した8会派の議員9人からは移転計画への理解を示す意見が目立った一方、反発の声も相次いだ。(馬上稔子)

 協議会は所属議員数に応じて発言の持ち時間55~5分が各会派に配分され、それぞれの立場で主張した。「移転はゴールではなく始まり。騒音対策や地域振興、安心安全対策は今後も着実に実施される必要がある」。市の対応に一定の評価を示す会派からは、移転を前提に国との協議を継続するよう求める声が多く聞かれた。

 11人が所属する最大会派の憲政会も移転容認のスタンス。議員は「移転に関しては現実的な対応をするべきだ。市長は英断を」と会派の意見を述べ、持ち時間55分のうち4分ほどで席に着いた。

 福田良彦市長は「基地があるメリットを最大限生かす」と繰り返し説明。具体的な取り組みとして英語教育の充実、文化・スポーツを通じた日米交流などを挙げた。国への要望事項の中で「成果」とする小中学校の給食費無償化にも言及。「恒久財源のめどが立った」とし、9月の市議会で補正予算案を提案する考えを示した。

 一方の反対派。艦載機の受け入れ判断の前提条件となる米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移転に「見通しが立った」とした福田市長の見解を厳しく批判。沖縄県が移設先の名護市辺野古の埋め立て工事差し止めを求めて提訴する方針だとして、「見通しは立ったとはいえない」と強調した。

 市が5月21、23日に市内4会場で開いた住民説明会について、ある議員は「旧市内でたった1カ所。これでみんなの意見を聞いたと言えるのか」とし、移転の賛否を問う住民投票の実施を要求。相次ぐ北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け「学校の校庭などに避難施設を設置しないのか」などの質問も相次いだ。

 終了後に福田市長は報道陣に「貴重な意見や提言があった。大きな課題なので慎重に慎重を期して総合的な判断をしたい」と述べた。

≪全員協議会での主な意見と市の回答≫(■は議員質問、○は市長の回答)

■米軍普天間飛行場の移設見通しが立ったと言えるのか
〇沖縄県や国の動向は注視するが、現時点では工事が進んでいる状況に変わりはない

■住民投票条例を作る考えはないか
〇住民説明会などで意見を聞いており、条例制定は考えていない

■北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、避難施設を設置する考えはないか
〇市として具体的な検討はしていない

■艦載機移転後に市民生活へ悪影響が生じた場合、国と協議して早急に解決すべきだ
〇安心安全対策は未実施の項目もあるため、今後も国と協議して成果を導きたい

■小中学校の給食費無償化などに恒久的な財源を確保して取り組む必要がある
〇給食費無償化は恒久的な財源のめどが立った。9月の市議会で補正予算案を提案したい

(2017年6月1日朝刊掲載)

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