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「あの日」惨状 前住職語る 東区の安楽寺 広島県内の宗教者らに

 広島県内の宗教者たち約30人が2日、広島市東区牛田本町の被爆建物の安楽寺を訪れた。被爆者で前住職の登世岡浩治さん(87)から「あの日」の体験を聞き、平和を祈った。

 登世岡さんは旧制崇徳中(現崇徳高)4年生の時、爆心地から約4キロの動員先の工場で被爆。帰宅すると、爆心地から約2キロの寺は傾いた柱を残して全壊していた。

 被爆した弟の純治さん=当時(12)=は6日後に亡くなったといい、「寺の傷んだ天井板で棺おけを作って近くの公園で火葬した。こんなにむごいことはない」と涙を拭った。

 県内の宗教者でつくる広島宗教者平和協議会が学習会として企画した。参加した安佐北区の宗藤信江さん(83)は昨年10月に被爆者で牧師だった夫、尚三さんを亡くした。「復讐(ふくしゅう)心や怒りではなく、平和への祈りを大切にしていきたい」と話した。(森戸新士)

(2017年6月3日朝刊掲載)

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