×

ニュース

韓国の研究者ら「残留孤児」学ぶ 広島「体験聞く会」に参加

 韓国の大学の研究者や大学院生たちが、広島市中区で開かれた「中国残留日本人の体験を聞く会」に参加した。日本の国策によって旧満州(中国東北部)に移り住み、戦後も苦難が続いた体験談に耳を傾けた。

 慶北大や梨花女子大の教員らでつくる「SSK多文化・ディアスポラ研究団」のメンバーなど15人。両親が佐賀県出身で、吉林省で生まれた川添瑞江さん(79)=南区=の話を聞いた。

 川添さんは終戦直後、徒歩で逃げる途中に母と妹を失った。もう一人の生後間もない妹、姉、自分は別々の中国人に預けられ、実の父も亡くなったという。

 54歳となった1992年に「残留孤児」として日本に帰国。広島市内の夜間中学で学び、通信制高校に合格したエピソードに研究団のメンバーも胸を打たれた様子だった。「旧満州で朝鮮人に会ったことはありますか」「日本での生活に満足していますか」などと質問し、交流を深めた。

 今回、一行は広島大(東広島市)の教員と学生たちのグループ「ヒロシマ韓国学」との学術討論会のために来日した。海外移住者の多い韓国では「移民」は重要な研究テーマ。中国に置き去りになった日本人の状況は、在外コリアンの抱える問題と共通する部分があるという。韓国での相互文化教育に役立てる。

 梨花女子大の張漢業(チャン・ハンオプ)教授は「旧満州の歴史は日本、中国、朝鮮、ロシアが関わるが知らない若者は多い。真実を伝える機会を持つことは大切」と話していた。(山本祐司)

(2017年6月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ