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ジュノー博士映画 特別賞 仏のイベント 東区のNPO主導 「生きざま 平和構築に」

 被爆直後の広島に大量の医薬品を届けたスイス人医師マルセル・ジュノー博士(1904~61年)の生涯をたどるアニメ映画「ジュノー」が、フランス南部カンヌ市で5月下旬にあった映画イベントで特別賞を受賞した。

 イベントは、カンヌ国際映画祭の会場で併催された「アニメーション・デー」。フランスの映画関連企業が、各国の映画配給会社などにアニメ作品を紹介するために開いた。社会問題を扱い、人間の成長を促す作品として評価され、他国の2編とともに選ばれた。

 アニメは、NPO法人モースト(広島市東区)が主導して2010年に完成した。少女2人が原爆投下直後へタイムスリップし、博士を目撃するストーリー。医薬品の提供を求めて連合国軍総司令部(GHQ)に詰め寄る場面や、自ら治療に当たる姿を描いた。

 モーストの津谷静子理事長(62)が、国内を中心に約200回上映した実績を踏まえ、海外で披露する機会を増やしたいと模索。イベントに出品し、受賞した。23日に現地であった表彰式に出席し、記念の絵を受け取った。

 帰国後、受賞を知った米国やカナダなどの映画関係者から、上映の打診が相次いでいるという。「博士は、国境や宗教にとらわれずに人道主義を貫いた。被爆地発の映画で生きざまを発信し、世界の平和構築につなげたい」と意気込む。

 「ジュノー」の上映会が今月18日午後2時から、中区の原爆資料館である。県医師会(東区)との共催で無料。申し込み不要。モースト☎082(223)0790。(奥田美奈子)

(2017年6月6日朝刊掲載)

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