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岩佐代表委員 退任へ 日本被団協 高齢理由に

 1950年代半ばから被爆者運動に力を注いできた日本被団協の岩佐幹三代表委員(88)が6日、東京都内であった定期総会で、高齢を理由に退任する意向を明らかにした。後任には、田中熙巳(てるみ)事務局長(85)を推す声が出ている。

 2日間の日程で始まった総会の初日に岩佐氏は、「核兵器禁止条約」制定に向けた多国間交渉が進む現状を念頭に「歴史が動こうとしている時に悔しいが、体力の限界が来た」と説明した。退任後は、顧問として活動を支える考えも示した。

 岩佐氏は16歳の時に爆心地から1・2キロの現広島市中区で被爆し、母と妹を亡くした。53年から金沢大法学部の教壇に立ち、仕事をしながら石川県の被爆者団体設立に尽力。60年、初代会長に就いた。被団協では専門委員や事務局次長を経て2011年、トップに当たる代表委員3人のうちの1人に就任した。

 一方、被爆者の証言や運動の記録を収集、発信するNPO法人ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会(東京)の代表理事は続けるという。岩佐氏は「核兵器廃絶を自分の問題として活動していく若い人を増やすため、仕事を続けたい」と語った。

 5日に都内であった被団協の代表理事会では、田中氏を後任に充てる案が出たという。田中氏は中国新聞の取材に対し「事務局長は退くつもりだが、代表委員に推されれば拒む理由はない。運動は一生続ける」としている。役員人事は7日に正式決定される見通し。

 この日の総会には各都道府県の代表約90人が出席。「核兵器禁止条約」制定交渉への不参加を決めている日本政府を非難する基調報告を採択した。(田中美千子)

(2017年6月7日朝刊掲載)

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