×

ニュース

被爆者が説く「ゆるす心」 広島市教委が証言映像収録

 広島市東区の被爆者、美甘(みかも)進示さん(91)が6日、西区の己斐東小で自らの被爆体験と平和への思いを児童に語った。次代の平和教育のため、証言映像を残す市教委のアーカイブス事業の一環。「ゆるす心」を説いた。

 6年19人とカメラを前に話した。爆心地から約1・2キロで被爆。父親と生き別れ、翌月に母親を亡くし、兄は戦死―。「19歳で全てを失った。でも生き残り、みんなに話をできてうれしい」。付き添った次女の章子さん(55)も「『ゆるし合い、助け合う気持ちが大事』と言って育てられた」と伝えた。

 聞き入った川元詩織さん(12)は「ゆるす心の大切さを教わった。伝えていきたい」と受け止めていた。

 市教委は2008年度から被爆者や被爆2世の証言を収録している。幼稚園や小中学校で子どもたちに語る様子をそのまま収め、将来の平和学習に役立てる狙いがある。これまでの18人は、被爆建物や被爆アオギリへの思いなどをテーマに人選した。

 美甘さんの映像はDVD化し、市教育センターや市公文書館に保管。来年度から平和学習目的で利用を希望する学校や団体に貸し出す。(森戸新士)

(2017年6月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ