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広島の若者 新たな原爆劇 9~11日に「試演会」

 広島市の若手演劇人たちが、新たな原爆劇の創作に挑戦している。フィールドワークを通じてヒロシマに向き合い、作品を練り上げながら、2年後の本公演を目指す。「試演会」と位置付ける第1回公演「新平和」を9~11日、広島市東区民文化センターで開く。

 メンバーは、昨年6月にスタートした舞台俳優の養成講座「広島アクターズラボ」(西区)で学ぶ22~40歳の男女13人。演技のトレーニングを積むと同時に、平和記念式典や原爆資料館、被爆者への取材を重ね、作劇に反映させてきた。来年も試演会を開き、2019年の3回目を本公演とする予定だ。

 試演会には「五色劇場」という劇団名で臨む。今は平和記念公園(中区)になっている旧中島本町にあった芝居小屋にちなんで命名した。

 ラボの講師を務め、作品の構成、演出を手掛けるのは、京都市の劇団「烏丸(からすま)ストロークロック」主宰の柳沼昭徳(40)。15年の岸田國士(くにお)戯曲賞の最終候補作にノミネートされた、注目の劇作家だ。

 第1回公演は、昨年の平和記念式典で目にした光景を中心に描く。燃料会館(現在の平和記念公園内のレストハウス)で生き残った被爆者の話をきっかけに被爆直後の描写を加え、来年の第2回へとつなげる。

 ラボを主催し、試演会で制作を務める舞台芸術制作室「無色透明」代表の岩崎きえさん(38)は「声高な主張を発するのではなく、ヒロシマの人々を素描するような作品。観客が原爆や戦争、そして人間について語り合うきっかけになれば」と期待する。

 9日午後7時半、10日午後1時と7時、11日午後1時と4時に開演。2千円(前売り1500円)、高校生以下千円(同500円)。前売りは「無色透明」のホームページか東区民文化センターに申し込む。一部の前売りは完売しているが、若干の当日券がある。同センター☎082(264)5551。(西村文)

(2017年6月7日朝刊掲載)

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