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被災地で原爆復興の劇 「勇気と希望届けたい」

 広島への原爆投下後、焼け野原から立ち上がる人間の力強さを描いた創作劇「I PRAY(アイプレイ)」を演じている広島の子どもたちが19~21日、宮城県内3カ所で公演する。東日本大震災で被災し、復興に努力している人々を応援したいと、練習に励んでいる。(増田咲子)

 昨年3月の震災直後から「何かできることはないか」と思い続けてきた子どもたちの思いが、広島YMCA(広島市中区)と仙台YMCA(仙台市)の協力で実現する。広島、廿日市、呉、岩国の各市の小学生から大学生までの15人が、19日に南三陸町の伊里前小、20日には仙台市青葉区の立町小、21日に山元町の中央公民館で公演する。

 劇は、宮城県内での公演用に大幅にアレンジする。原爆投下で傷ついた市民たちが「くじけちゃだめ、立ち上がるの」と力強く宣言するシーンなどを演じる。「明日があるさ」など、なじみの曲に合わせた踊りも披露。舞台の最後には、来場者と一緒になって踊る。

 構成、演出を手掛けている被爆2世の木原世宥子(ようこ)さん=広島市南区=は「歌と踊りの力は大きい。負けずに立ち上がり、復興を遂げた広島の姿を伝えたい」と意気込んでいる。

 仁保小4年嶋野ゆりかさん(9)=南区=は「原爆でも震災でも、たくさんの人が亡くなった。明るい未来に向かうパワーを受け取ってほしい」。白岳中3年福島滉史郎君(14)=呉市=は「人々に生きる勇気と希望を届けたい。心から笑ってほしい」と張り切っている。

I PRAY(アイプレイ)
 被爆2世のダンス講師木原世宥子さんが1996年に制作した平和創作劇。直訳は「私は祈る」。広島、長崎、神戸、韓国・大邱市などで上演。広島原爆をモチーフに戦争や核兵器の恐ろしさ、平和の大切さを訴えている。

(2012年8月13日朝刊掲載)

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