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「黒い雨」訴訟 11人追加提訴

 広島の原爆投下後に降った放射性降下物を含む「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたのに、被爆者健康手帳などの交付申請を却下したのは違法として、広島市などの住民が市と広島県に却下処分の取り消しを求めた集団訴訟で、同市と安芸太田町、府中町の74~85歳の11人が9日、広島地裁に追加提訴した。原告数は、2015年11月の1次提訴を含め計75人となった。

 訴状によると、黒い雨を浴びた原告は原爆の放射能の影響を受け、被爆者援護法の「3号被爆」に当たると主張。国指定の対象区域で雨を浴びた人が無料で健康診断を受けられる受診者証の取得申請の却下処分についても、「対象区域が狭すぎ、著しく不平等」として取り消しを求めた。

 提訴後、原告が同市中区で会見。安野村坪野(現安芸太田町)で黒い雨を浴びたという広藤清人さん(80)=同町=は「胃や食道のがんを患った。救済してほしい」と訴えた。

 原告は黒い雨に対する国の援護対象拡大を目指しており、事実上は国と争う集団提訴。国、県、市は「訴状が届いていないのでコメントは控えたい」としている。

(2017年6月10日朝刊掲載)

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