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筆先に平和の願い 広島 原爆死没者記帳始まる

 広島市は9日、原爆死没者名簿の記帳を始めた。昨年8月6日以降に亡くなったか、死亡を確認した被爆者の名前を書き加え、今年の8月6日に平和記念公園(中区)で営む平和記念式典で原爆慰霊碑に納める。

 市が今月8日までに把握した広島原爆の新たな死没者は2745人。記帳を担当する、ともに元市職員で南区の被爆者、池亀和子さん(75)と中本信子さん(74)はこの日、市役所の一室で作業。余白の残る110冊目と真新しい111冊目の名簿を前に手を合わせて黙とうした後、死没者の名前や死亡年月日を筆で丁寧に記していった。

 28回目の記帳となる池亀さんは「死没者の皆さんの冥福を祈りながら、一日一日丁寧に記帳したい」、17回目の中本さんは「二度と原爆を使用してはならないと、多くの人に伝えていかなければ」と話した。

 名簿には昨年8月5日までに30万3195人を記帳。別に、遺族が望んだ長崎原爆の被爆者9人分の1冊がある。市は今年8月5日まで記帳申請を受け付ける。市原爆被害対策部調査課☎082(504)2191(平日のみ)。(伊藤友一)

(2017年6月10日朝刊掲載)

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