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広島県、ミサイル備え訓練 全23市町と情報伝達手順を確認

福山市 FMサイレン音で避難

 広島県は11、12の両日、弾道ミサイルの飛来を想定し、県内全23市町と情報伝達の手順を確認した。福山市は、住民の避難を含む訓練を県内で初めて実施。FMラジオから、落下の恐れがある際に防災行政無線で発する特別なサイレン音を流すなどし、住民に行動の確認を呼び掛けた。(衣川圭、藤村潤平)

 「X国からミサイルが中国地方の方向に発射された模様です」。11日午前10時、同市新涯町の新涯小運動場でグラウンドゴルフをしていた住民たち約150人が、広報車で流したラジオからのサイレン音と放送を聞いて体育館に逃げた。約4分で避難完了。ガラス飛散などの恐れのある窓際を避け、避難解除の放送まで中央付近に集まった。

 北朝鮮が8日までに4週連続でミサイルを発射する中での訓練。参加した同町の三藤光章さん(81)は「訓練をしておくのはいいこと。戦争を経験している世代だから、ミサイルで騒ぎになるような世の中は嫌だ」と話す。ミサイルは発射から10分以内に到達する可能性がある。別の小学校区の老人会役員の男性(72)は「訓練は非現実的で不安をあおるだけ。国はミサイルを撃たせない対応をしてほしい」と注文した。

 県は11日、福山市、広島市など11市町、県内13消防本部・消防局と訓練し、情報伝達と被害状況報告などの手順を確認した。12日も12市町と訓練をした。福山市危機管理防災課は「万が一に備えて、取るべき行動を正しく理解しておくことが大切だ」とする。同市は今後も、FM放送を通じてサイレン音を市民に確認してもらう機会を設ける。

 内閣官房によると12日までに、国も参加する訓練を秋田、山口、山形、新潟、福岡の5県でした。内閣官房は「脅威の度合いが増している」として各自治体に実施を呼び掛けている。

(2017年6月13日朝刊掲載)

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