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核廃絶へ「良心」訴え 平和宣言 広島市長が方針

 広島市の松井一実市長は11日、ことしの原爆の日の平和記念式典で読み上げる平和宣言で、核兵器廃絶に向けた行動理念として「良心」「誠実」という二つのキーワードを盛り込む考えを示した。「核兵器禁止条約」の制定を前提に、改めて被爆者の訴えに心を寄せ、廃絶への行動を促す。

 平和宣言の文案を検討する有識者や被爆者の懇談会が同日に中区であり、終了後の報道陣の取材に答えた。「被爆者の良心に根ざした訴えをみなで共有し、(それを受け止める)為政者は誠実に対応してほしい」と述べた。

 「良心」には、原爆被害を受けた憎しみや怒りを乗り越えて核兵器廃絶を願う被爆者の気持ちを、「誠実」には、廃絶へ各国の指導者に求める姿勢を込める。これらを思い起こさせる文脈で、被爆者2人の体験談も引用するという。

 懇談会は非公開で委員全10人のうち9人が出席。禁止条約を巡り各国政府代表が15日~来月7日の第2回制定交渉会議で成案採択を目指す中、平和宣言には「核兵器使用は人類として決して許されない」「(交渉不参加の)日本政府に核兵器保有国と非保有国の橋渡しを本気でやってもらいたい」などの意見を反映させる点でも一致した。

 松井市長は7月中旬の最終会合で平和宣言の文案を提示。原爆の日までに起草する。(野田華奈子)

(2017年6月13日朝刊掲載)

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