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終戦の日 決意新た

 67回目の終戦の日の15日、広島市内では、不戦の誓いを新たにし、平和を願う集会や、戦没者を追悼する慰霊祭などがあった。在日本大韓民国民団(民団)県地方本部は日本の植民地支配からの解放を祝う式典を開いた。

平和の鐘 響く  高校生ら集い

 中区の平和記念公園では、園内にある「平和の鐘」を鳴らして不戦や核兵器廃絶を誓う集いがあった。広島ユネスコ協会が主催し、会員や高校生たち約80人が出席した。

 同協会の北川建次会長(77)は「紛争も核兵器もなくならない現実を踏まえ、不戦の誓いを新たにしよう」とあいさつした。

 続いて、4人が平和への思いなどを発表した。広島大付属高2年の手島英華(はなか)さん(17)は「高齢化する被爆者の体験を伝えていく自覚を持とう。福島で放射線と闘っている人のことも忘れずにいたい」と呼び掛けた。

 正午に全員で黙とうし、次々に鐘を突いた。観光客や市民も列に加わり、手を合わせて平和を願っていた。(田中美千子)

原爆・反戦詩 心込め 資料館で児童ら朗読

 「8・15原爆詩・反戦詩を詠む市民の集い」が、中区の原爆資料館東館地下であった。朗読ボランティアや希望した13人が、自作の詩や栗原貞子さんたち広島ゆかりの詩人の作品を読み上げた。

 約50人が聞き入った。矢野南小6年大谷月(るな)さん(11)=安芸区=は、原爆と川をテーマにした東広島市の詩人井野口慧子さんの作品を取り上げた。「戦争がなくなるようにと祈りを込めて読んだ。思いが伝わったらうれしい」と話した。

 自らの被爆体験を詩にして朗読した被爆者の女性もいた。

 集いは広島文学資料保全の会と広島花幻忌の会が主催し、ことしで11回目。(山本乃輔)

戦没者 忘れない 広島護国神社で追悼

 中区の広島護国神社で、神社主催の「英霊感謝祭」があった。遺族たち約180人が参列した。

 藤本武則宮司(64)が祝詞を上げ、「悲しみの上に今の平和がある」と戦没者を悼んだ。義理の兄弟2人が戦死した中区の高見スズ子さん(83)は「国のために逝った人々を一日も忘れたことはない」と話していた。

 続いて、日本会議広島主催の「戦没者追悼平和祈念の集い」があった。海軍航空隊の中尉だった呉市の大之木グループ代表、大之木英雄さん(90)が講演。沖縄戦で命を落とした同期の特攻隊員33人との絆を語った。(山本乃輔)

「光復節」祝う 民団県地方本部

 東区の民団県地方本部は、日本の植民地支配からの祖国独立を祝う光復節記念式典を開いた。

 辛亨根(シンヒョングン)駐広島韓国総領事をはじめ約80人が出席した。権五源(クォンオウォン)団長は、日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島(トクト))問題に触れ、「騒々しい中で光復節を迎えた。争うことなく、平和になってほしい」と話した。

 続いて、決議文を採択。朝鮮半島の平和統一への協力や韓日友好増進への寄与などを盛り込んだ。

(2012年8月16日朝刊掲載)

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