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[核なき世界への鍵] 「被爆者の苦しみ」異論なく 条約交渉会議 成案前文に記載へ

 「核兵器禁止条約」の制定へ向けて米ニューヨークの国連本部で始まった第2回交渉会議は初日の15日、各国の政府代表が条約草案の前文について議論した。被爆者の苦しみに触れている点に反対意見はなく、より強調するよう求める意見が相次いだ。成案でも盛り込まれる見通しが強まった。(ニューヨーク発 水川恭輔)

 草案前文は「核兵器使用による被害者(被爆者)と核実験被害者の苦しみに留意する」と記す。この一節を巡る意見交換で、ブラジルは賛成の立場から「耐えがたい」という言葉を加え、苦しみの表現を強めるよう提案。オーストリアやガーナが賛同した。

 核実験被害者への言及についても、米国が核実験を繰り返したマーシャル諸島が「私たちの経験を表現している」と歓迎した。

 前文に関してはほかに、オーストリアなどが、意図的でなくても事故や誤算で爆発するリスクに関する記述を要望。キューバなどは核兵器の近代化などに使われる膨大な予算が社会経済活動に悪影響を及ぼすと言及するよう求めた。

 非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」によると、会合初日は103の国・地域が出席した。

(2017年6月17日朝刊掲載)

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