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平和観光周遊 どう展開 AR活用 解説アプリも 被爆者ら参加 広島市が懇談会初会合

 平和をテーマにした観光周遊「ピースツーリズム」を進めようと広島市は16日、被爆者や平和、観光関連の各団体の代表者たちでつくる懇談会を設置した。外国人観光客の増加を受けて本年度、平和関連の施設を巡る複数のルートを設定するのに意見を反映する。(渡辺裕明)

 懇談会は9委員で構成。県被団協(坪井直理事長)や市立大広島平和研究所、日本旅行業協会中四国事務局などの代表者に加え、市の国際平和推進部と観光政策部の両部長が名を連ねる。

 市は本年度、被爆建物や被爆樹木といった平和関連スポットを巡るルートをつくる。さらに拡張現実(AR)の技術を活用し、各スポットに向けてスマートフォンをかざすと、画面上で被爆前後から現在までの写真や英語の解説が映し出されるアプリを開発。ルート案内の機能も設け、外国人が巡りやすい環境づくりを進める。

 この日は市役所で初会合があった。委員から「施設を巡るだけでなく、話を聞ける場も設定してほしい」「修学旅行生が多いので日本語版も必要では」などの提案が出た。

 市は月1回程度開く懇談会の意見や、市民、外国人観光客への聞き取りを踏まえ、8月ごろにルートを試験的に設定。ニーズを調べて年度内に固める。

 2016年に同市を訪れた外国人観光客は117万6千人。12年から約3・2倍に急増している。座長に就いた被爆者で元原爆資料館長の原田浩さん(77)=安佐南区=は「平和に関する情報発信は、来訪者を迎える上で一つの基礎となる。受け入れる市民の意識も高めたい」と話す。

(2017年6月17日朝刊掲載)

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