×

ニュース

戦艦大和建造に利用「強度試験機」 展示決まらず野外保管

 広島県呉市が、戦艦大和の建造時に使われた全長28メートルの強度試験機を広島大(東広島市)から取得、市内に移して1年になる。市は貴重な財産とする一方、展示手法や場所は決まっておらず、しばらくは野外での保管が続きそうだ。市は有識者の意見を聞くなどして、公開方法を探る考え。(滝川裕樹)

 保管場所は潜水艦が間近に見える同市船見町のアレイからすこじま駐車場。市は昨年8月半ばまでに約3400万円かけて広島大から分割して運んだ。さび防止措置を施し、敷地の隅にブルーシートで覆って置いている。

 試験機は構造物を挟み圧力をかけ、強度を測る。重さ420トン。1932年のドイツ製で旧呉海軍工廠(こうしょう)が輸入。67年から広島大が保有していたが、故障していた。同市が引き取らなければ処分する方針だった。

 戦艦大和に関する資料は少なく、市の木坂修産業部長は「歴史的資料の散逸を防ぐことが重要だった」と取得の意義を語る。ただ、どう活用するかは難しく、「そのまま公開しても鉄の塊ととられかねず、価値が伝わらない」と説明する。市は今後、全体を見せるのか、重要部分だけ公開するのかなど、外部の有識者の意見を交えて探るとしている。

(2012年8月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ