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「原爆展」 被害実態伝える 青年海外協力隊員 県出身者4人決意

 国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員としてアフリカや中東へ赴任する県出身者4人が16日、広島市中区の広島国際会議場で平和学習に臨んだ。歴代の隊員は赴任先で原爆について問われる機会が多く、これまでに67カ国で計160回の「原爆展」を開いて被害の実態などを伝えている。

 4人は、中区の今田絵美さん(32)=小学校教育▽南区の小谷鮎さん(28)=医療機器▽尾道市の花岡早織さん(30)=パソコンインストラクター▽福山市の藤井沙紀さん(25)=環境教育。今月下旬から7月上旬にかけ、ザンビアやラオスなどに出発し、現地で2年間を過ごす。

 平和学習では、原爆資料館(中区)の職員が無料で貸し出せる資料を説明。JICA中国(東広島市)の職員は「イスラム教の国では女性が肌を露出した写真が受け入れられないこともある。展示の際は工夫してほしい」と呼び掛けた。

 8歳の時に爆心地から2・8キロの自宅で被爆した岡田恵美子さん(80)=東区=は、被爆体験を証言した。「世界に向けて広島で起こったことを伝承してほしい」と激励した。

 原爆展は県出身の隊員有志4人が2004年、中米ニカラグアで初めて開いた。長い内戦を経た同国で、広島の復興を通じて未来への希望を持ってほしいとの願いからだったという。以降、ボリビアやガーナ、キルギスなどでも開かれた。

 被爆3世で、原爆展の実績がないエジプトに赴任する今田さんは「原爆展を開きたい気持ちは強い。現地の文化を踏まえ、伝え方などを考えたい」と意気込む。(新谷枝里子)

(2017年6月17日朝刊掲載)

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