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[核なき世界への鍵] 禁止事項に「使用の威嚇」 条約交渉会議 提案相次ぐ

 米ニューヨークの国連本部で開かれている「核兵器禁止条約」の第2回制定交渉会議は2日目の16日、各国政府が禁止事項の議論に入った。使用や開発などを禁じた条約草案で明示されていない、核兵器の威力をちらつかせる「使用の威嚇」を加えるよう求める意見が相次いだ一方、一部の国は消極的な姿勢を見せた。(ニューヨーク発 水川恭輔)

 「使用の威嚇」の明示はインドネシア、フィリピンなどが「核抑止力に頼る安全保障の否定になる」などとして提案。これに対し、スイスは草案の禁止事項で威嚇もできなくなるとの見方を示し、明示は不要とした。関係国際機関として議論に加わる赤十字国際委員会(ICRC)は、使用の「軍事的準備」という表現で記す案を示した。

 ほかの禁止事項では、既存の包括的核実験禁止条約(CTBT、未発効)に沿って「爆発を伴う」核実験の禁止を明記している点に関し、キューバなどが臨界前核実験を含めるよう訴えた。エクアドルなどは核兵器に関わる「融資」を加えるよう求めたが、スウェーデンが、核の平和利用に関わる企業活動への過度な影響を懸念した。

 禁止事項に先立つ前文の後半部分の議論では、アイルランドが軍縮教育の重要性を入れるよう提案。フィジーなどが賛成した。

 議場では、平和首長会議(会長・松井一実市長)が、不参加の米ロ英仏中が核軍縮に誠実に取り組むよう願い、5カ国の席に折り鶴を置いている。また、渡米中の広島市の松井市長はこの日、条約を推進するオーストリアのハイノツィ駐ジュネーブ国際機関代表部大使と会談し、条約の実効性向上を要望した。

(2017年6月18日朝刊掲載)

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