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放影研が「反省」表明へ 前身機関 被爆者「治療せず研究」

 日米両政府が共同運営する放射線影響研究所(放影研、広島市南区)は、19日に東区で開く設立70年の記念式典で、被爆者に対する反省と感謝の気持ちをあらためて表明する。原爆を投下した米国の原爆傷害調査委員会(ABCC)として発足し、被爆者から反発を受けた過去を直視した上で、研究の意義を伝える。

 放影研の前身のABCCは1947年3月10日に設立。放射線による健康への影響を調べるため、被爆者の血液検査や診察などの調査を続けてデータを蓄積した。設立当初は軍事目的の機関で、研究対象にされた被爆者には嫌悪感や反発も強く「被爆者を検査するが、治療はしない」などと批判された。

 75年に放影研となり、被爆50年の95年に作成したパンフレットではこうした過去の経緯を振り返り、「ABCCの後を継ぐ私たちとしては申し訳なく思う」と言及している。

 被爆者を招いて広島県医師会館で開く記念式典では丹羽太貫理事長(73)があいさつで、同様の認識に立って「申し訳ない」と伝える。その上で被爆者の協力によって得られたデータが放射線防護に役立てられてきた点など、研究継続の意義と感謝を述べるという。

 丹羽理事長は、来年70年を迎える長崎研究所の記念式典でも、同様に反省と感謝の意を示す考えでいる。(野田華奈子)

(2017年6月18日朝刊掲載)

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