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坪井さん講演「未来志向で」 今後の研究にエール

 放射線影響研究所(放影研)が19日に広島市東区で開いた設立70周年の記念式典で、広島県被団協の坪井直理事長(92)が講演した。腰を痛めて静養を続けていて、久々の公の場。「放影研は未来志向で、人類の立場に立たないと駄目だ」と今後の研究に期待を寄せた。

 坪井理事長は今年に入り、腰椎の圧迫骨折のため被団協や市などの会合を欠席していた。この日は放影研の依頼を受け車いすで登場し、「被爆者の生き様」をテーマに身ぶり手ぶりを交えて30分余り熱弁。広島工業専門学校(現広島大工学部)3年時に爆心地から1・2キロで被爆した当時の惨状に触れ「人間を何だと考えているのか、という印象だった」と振り返った。

 放影研を巡っては、前身の原爆傷害調査委員会(ABCC)発足時に調査に協力した経験を明かし、「被爆者は何とか生きたいと思っていたが、(放影研は)治療はしないと。治療法も分からなかったのだろう」とおもんばかった。最後に「生きている限り核兵器廃絶を諦めません」と締めくくった。

(2017年6月20日朝刊掲載)

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