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原爆ドームの石材引き上げ 広島大のグループ

 広島市中区の原爆ドーム(旧県産業奨励館)の一部だったとみられる石材3個を、広島大のグループが20日、ドーム前の元安川から引き上げた。重さは50~200キロ。爆風で飛ばされ、川底に眠っていたとみられる。

 研究員の嘉陽礼文さん(39)=南区=や学生たち計5人。川底の石材にロープを巻き付け、作業を依頼したクレーン車で持ち上げた。花こう岩でできており、バルコニーの側板や窓枠だったと推定している。

 昨年12月の現地調査で、板状の1個を見つけていた。近くの本川小の平和資料館で展示されているバルコニーの支柱と高さが一致したという。コケを洗い流すなどして調べた後、同大霞キャンパス(南区)の医学資料館で展示する。

 嘉陽さんは、被爆瓦やガラス片などを川底から集め、海外の大学や博物館に寄贈する活動を続けている。2014年からは大型石材の引き上げを始め、今回で3回目となる。

 嘉陽さんは「石材は被爆者の代弁者とも言える。原爆投下を正当化する風潮をなくすため、発掘を続けたい」と話している。(新谷枝里子)

(2017年6月21日朝刊掲載)

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