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【解説】岩国市長 艦載機受け入れ 不安解消 問われる手腕

 岩国市の福田良彦市長が米海兵隊岩国基地への空母艦載機の受け入れを決断した。山口県和木、周防大島両町と同県も近く容認を判断する見通しで、移転は確定的な情勢となった。国防への協力はやむを得ないとの見方がある一方、騒音悪化や事件事故に対する住民たちの懸念は根強い。福田市政はかつてない大きなリスクと責任を負った。

 福田市長は2008年2月の初当選以来、一貫して国防や米軍再編への協力姿勢を示し、国の財政支援を引き出してきた。移転を拒んで国側と対立した過去の市政を知る市民たちには、その「現実的な対応」を支持する声も多い。容認判断は既定路線と言えた。

 ただ、市が国に求めた安心安全対策のうち、米兵犯罪に関係する「日米地位協定の見直し」など、いまだクリアされていない課題は少なくない。ひとたび重大事件や米軍機の墜落事故が起きれば、地域に与える影響は計り知れない。緊張が続く北朝鮮情勢は、極東最大級と化す基地の街で暮らす危うさを市民に突き付けてもいる。

 福田市長は、住民説明会や市議会の場で「市民の安心安全を守る取り組みに決して終わりはない」と何度も繰り返し、各種対策の実現に向けて国との協議を続ける姿勢を示した。市民たちの不安をどう払拭(ふっしょく)し、平穏な暮らしを守るのか―。福田市政にとってはむしろ、これからが正念場となる。(松本恭治)

(2017年6月24日朝刊掲載)

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