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被爆地の学生 意見交換 来月 広島の団体、カザフへ

 被爆地広島と、旧ソ連の核実験で多くの人が被曝(ひばく)したカザフスタンの若者が協力し、初の平和フォーラムを9月1日、現地のセメイ市(旧セミパラチンスク市)で開く。テーマは「核の平和利用の必要性を問う」。現地でも関心の高い福島第1原発事故も取り上げ、核被害を受けた両国の大学生らが意見交換する。

 広島からは、2007年からほぼ毎年、カザフスタンを訪れている国際交流グループ「CANVaS(キャンバス)」(小麻野貴之代表)が参加する。昨年8月の訪問時に、フォーラムを主催する「ヒロシマセメイ友好プロジェクト」をセメイの医学生と設立。今年5月にインターネット電話のスカイプで会議を開き、開催に向け準備を進めてきた。

 フォーラムには、キャンバスからメンバーの社会人や大学生6人と、セメイの医学生らが出席。広島側は、福島第1原発事故後の原発に対する国民の意識の変化について報告する。核兵器や原子力について学校で何を学んでいるか、互いに発表し、議論する。

 キャンバス副代表の小麻野美和子さん(31)=広島市南区=は「広島、長崎の原爆被害や原発事故による日本の状況を伝えたい」。広島修道大2年の二上真衣さん(19)=西区=は「核兵器廃絶を進めるためにどうすべきか一緒に考えたい」と話している。(増田咲子)

カザフスタンの被曝(ひばく)者
 旧ソ連最大のセミパラチンスク核実験場で、1949年から89年まで450回以上の核実験が繰り返された。うち100回以上は、空中や地上で行われたため、放射性物質が広く拡散、がんや異常出産が相次ぐなど被害が深刻化した。カザフスタン政府によると、被曝者は約150万人に上るという。

(2012年8月20日朝刊掲載)

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