×

ニュース

放影研疫学部長に小笹氏 昨年4月以来「空席」を解消

■記者 森田裕美

 原爆による健康影響の研究で要のポストである放射線影響研究所(広島市南区)疫学部長に、前京都府立医科大准教授の小笹晃太郎さん(52)が就任した。被爆者の高齢化が進む中、「被爆の原点の意味をかみしめ、研究への理解を求めていきたい」と抱負を語る。

 放影研の疫学部長は前任者の退任で、昨年4月から事実上の空席が続いていた。小笹さんは京都府出身。京都府立医科大を卒業後、内科医として臨床経験を積んでから、同大でがんなどの疫学研究を続けてきた。

 専門の疫学は人の集団を長期にわたり追跡し、病気の原因や動向を調べる学問。放影研究での任期は11月1日から3年で、放影研が続ける低線量被曝(ひばく)や若年被爆とがんの関係解明などに力を入れる。

 小笹部長は「答えが出ていない原爆による健康影響を明らかにするのが義務であり、使命。データ分析だけでなく、対象者である被爆者ときちんと会って話をする機会も持ちたい」と話している。

(2008年12月4日朝刊掲載)

関連記事
放影研の施設整備 国への要望相次ぐ 地元連絡協(08年7月18日)
ブラジル在住の被爆者 4割が病気放置  放影研調査(08年6月19日)
放影研の研究強化勧告 専門評議員会が終了(08年3月12日)

年別アーカイブ