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神石高原出身 被爆死の元衆院議員 森田福市 伝記本が完成

 神石高原町出身の元衆院議員で、広島で被爆死した森田福市(1890~1945年)を紹介する本ができた。著者は昨年11月、92歳で亡くなった広島県福山市草戸町3丁目の元高校教諭千葉清士さん。最後の出版作となった。(山成耕太)

 「森田福市の生涯」の題。広島市中区に建設会社を起こして資産を築き、政界に進出した。政権の軍部支配を防ぐため、同志と極秘で東条英機首相を辞めさせる工作を進めるなど軍閥政治に抵抗したエピソードも収めた。

 千葉さんは退職後、小説などを書き、自らの少年時代をつづった「笹舟」など5冊を著した。60歳代に森田にひかれて取材を重ね、数年かけて仕上げたが、出版費用が壁になり、世に出すのを諦めていたという。

 おととし、偶然それを知った森田の孫、川尻治雄さん(69)=東京都杉並区=が協力を申し出、出版が実現した。

 千葉さんは完成にあと20日、間に合わなかった。しかし長男の桂司さん(67)=奈良県生駒市=は「父は本の完成を心待ちにしていた。喜んでくれているはず」と感謝する。

 四六判、261ページ。2千冊印刷した。川尻さんが全国の公立図書館に寄贈した。県内では県立図書館と広島市立図書館にある。

(2012年8月20日朝刊掲載)

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