×

ニュース

周辺2町きょう容認 岩国基地 艦載機移転 周防大島・和木 議会も賛成意見書案

 米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転計画を巡り、岩国市の福田良彦市長の23日の容認判断を受け、周辺町でも容認への動きが加速している。周防大島、和木両町議会は26日、移転を認める意見書案の提出を決めた。両町長が移転容認を表明する27日に可決される見通し。福田市長と両町長は29日に村岡嗣政知事と面会し、受け入れ判断を直接伝える予定だ。(余村泰樹、藤田智、和多正憲)

 「容認せざるを得ない」(周防大島町議会)「一定の理解を示す」(和木町議会)。両町議会は26日、それぞれ移転を認める理由を記した上、基地負担に見合う地域振興策などを国へ求める意見書案を開会中の定例会に提出することを決定。いずれも27日の最終日に賛成多数で可決される公算が大きい。

 二つの町議会は2005年6月、ともに移転反対を決議しており、今回の意見書案は当時の「議会意思」を修正する狙いがある。二つの意見書案には、ほぼ同じ文言が並んでおり、基地周辺の町議会として足並みをそろえた形となっている。

 この日あった両町議会の全員協議会でも、議員からは移転容認の意見が相次いだ。周防大島町議会(定数14)では議長を除く13人が発言し、11人が「地域振興策を求めるべきだ」などと賛成。2人が騒音悪化などの懸念から反対の立場を示した。椎木巧町長は「意見を整理し適正な判断をしたい」と応じた。

 和木町議会(定数10)も反対意見は1人。残る9人は福田市長の受け入れ判断を評価し、米本正明町長に対し「町も賛成を」などと迫った。米本町長は「総合的に考えて決断したい」とする。

 両町長はこれらの意見を踏まえ、23日の福田市長に続き、27日にも容認表明する見通し。さらに3市町長が29日に県庁を訪ね、村岡知事に受け入れ判断を伝えるとみられる。

 村岡知事はこの日の県議会代表質問で「周防大島、和木両町長の判断が明らかになれば、地元市町長と協議し、意向を直接確認したい」との考えを示した。

地域振興策 充実を要望 周防大島町長に住民団体

 米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転計画を巡り、周防大島町の住民団体「周防大島の安心・安全と地域の振興を共に実現する会」が26日、移転後の安心安全対策や地域振興策の充実強化を求める要望書を椎木巧町長に提出した。

 要望書は、騒音測定体制の整備や基地運用に関する合意事項の検証、苦情処理体制の充実などのほか、地域振興策の策定や安定財源の確保、広報の充実などを求めている。

 同会は2007年に結成し、会員は現在約40人という。奈村種臣会長(83)たち3人が町役場で要望書を提出した。「岩国市が容認した今、基地と共存する新しい時代に即応した対策を求めたい」と奈村会長。椎木町長は「町民の意見の一つとして判断に生かしたい」と話していた。(余村泰樹)

移転容認に抗議 撤回を申し入れ 岩国市に2団体

 米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転に反対する「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」と「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会」が26日、岩国市の福田良彦市長の容認判断に抗議し、撤回を求める申し入れ書を市に提出した。

 瀬戸内ネットは、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設見通しが立ったなどとする福田市長の見解について、「市民を欺くための手法が取られており、納得できない」と指摘。その上で「移転が強行されれば、住民の生活環境は著しく低下する」と主張した。

 西部住民の会は「世界遺産の宮島や平和都市ヒロシマなど、周辺住民が受ける深刻な被害や不安に目を向けることもなく結論を出した」と批判。普天間の移設見通しを巡る市長見解についても「沖縄の願いを無視し、工事を進める国の片棒を担ぐ行為だ」と断じた。

 両団体の代表たちが市役所で、高田昭彦基地政策担当部長に文書を手渡した。高田部長は「内容は市長に伝える」などとした。

(2017年6月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ