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松江市に6000万円寄付 福島原発事故後 中電が地域振興名目

 中国電力が、島根原子力発電所(松江市鹿島町)のある松江市に、福島第1原発事故後も地域振興の名目で寄付を続けていることが分かった。寄付は2011、12年度で計6千万円。原発の安全性が揺らぐ中、立地自治体の「寄付依存」が続いている。

 松江市によると、アワビの種苗を育成、販売する鹿島・島根栽培漁業振興センター(同)の運営費として2年で6千万円の寄付を中電から受けた。同事業をめぐる寄付は05年度から続いており、8年で計2億4千万円に達する。

 市によると、福島原発事故後の11年4月に一時、寄付金の辞退を検討。しかし、センターの運営費年約6千万円の半額が寄付で賄われていることなどから断念した。市水産振興課は「寄付金というあいまいな性質の資金をもらうのは問題、との認識はある」と説明。センターの経営改善を進めるとしている。

 中電が原発を計画する自治体では、匿名などでの寄付が相次いできた。島根原発がある旧鹿島町と隣接する旧島根町には判明しているだけで過去、計52億2千万円の寄付があった。ほとんどが中電からとみられる。原発の新設計画がある山口県上関町も、中電から07~10年で計24億円の寄付を受けた。

 上関町によると、中電からの寄付は10年12月以降はないという。

 中電は「篤志のためであり積極的に公表していない。円滑な電気事業と地域貢献のために寄付は必要」としている。(樋口浩二、東海右佐衛門直柄)

(2012年8月21日朝刊掲載)

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