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3市町長 いずれも「容認」 米艦載機岩国移転 山口県議連「知事判断支える」

 米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転計画を巡り、岩国市長に続き、27日に基地周辺の和木、周防大島両町長の「容認判断」も出そろった。一方、山口県議会も最大会派自民党の議員たちが会合を開催。同会派として受け入れ前提の意見書案の提出も決めた。「地元の意向尊重」を掲げる村岡嗣政知事の最終判断に向け、環境は整いつつある。(余村泰樹、藤田智、和多正憲)

 岩国基地から北へ約5キロの和木町。「容認を決断した」。定例会最終日の午前、米本正明町長がそう表明した瞬間も、議場は静まり返っていた。同町は岩国市が反対の世論に沸いた2006年、当時の町長が容認表明をして「現実路線」にかじを切っていた。

 報道陣が並ぶ横の傍聴席でただ一人、トップの「決断」に耳を傾けた自治会長の男性(70)は「国に協力し振興策を引き出すのが最善」と受け止めた。

 同じころ、和木町から基地を挟んで南へ約30キロ離れた周防大島町の町議会議場でも、椎木巧町長が「受け入れざるを得ない」と表明。同町も06年に当時の町長が「移転はやむを得ない」として容認姿勢を示していた。

 ただ、当初の移転計画と比べ、同町は騒音区域の拡大が予測される。議会を傍聴した住民団体「大島の静かな空を守る会」の中尾久利さん(69)は「岩国市長の判断に追随する内容で主体性が感じられない」と批判した。

 一方、県議会はこの日、最大会派の自民党が、地元3市町の受け入れ判断を踏まえ「容認が妥当」とする意見書案を開会中の定例会に提出すると決め、賛成多数で可決される見通しとなった。

 同議会は05年に「現時点では到底受け入れられない」とする意見書を全会一致で可決した経緯があり、「議会意思」を修正し、30日に想定される村岡知事の容認判断に向けた環境を整えた形だ。

 これに先立ち県議会棟で開かれた岩国基地問題に関する議員連盟(基地議連)の総会には、村岡知事も出席。会長の柳居俊学議長が「最終判断する知事を支えないといけない。最大のヤマ場の6月議会を乗り越えるため意思統一を」と呼び掛けた。村岡知事も「適切な判断ができるよう、皆さんの力添えを頂きながら進めたい」と応じた。

(2017年6月28日朝刊掲載)

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