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被爆者の体験や思い受け継いで 元安川と似島の砂利で陶器制作 

 広島市中区の原爆ドーム前を流れる元安川の砂利などを使った陶器の制作を、広島大のグループが始める。被爆者や小学生と作業を共にして原爆犠牲者を悼み、平和学習にも役立ててもらう。28日、南区の同大医学資料館で試作品を披露した。

 制作するのは、花を生けるのに使う「水盤」。底が浅く、粘土から形を作る作業がしやすいとの理由で選んだ。器の内側にひとつまみの砂利をあしらって焼く。

 砂利は、国土交通省などの許可を得て、元安川や被爆者が搬送された似島(南区)で採取した。完成品は「平成の原爆焼」として、制作者に贈ったり、教材としての利用を希望する学校に譲ったりする。

 第1弾として7月、中区の原爆養護ホーム「舟入むつみ園」で入所者と一緒に作業をする。企画した同大研究員の嘉陽礼文さん(39)は「被爆者の言葉にできない体験や思いを受け継ぐ手法として提案したい」と語る。

 1950年ごろに爆心地近くの土を混ぜて作ったとされる陶器「原爆焼」に着想を得た。完成品は医学資料館で7月27日~8月7日に展示する。入場無料。(奥田美奈子)

(2017年6月29日朝刊掲載)

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