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普天間移設の進展焦点 艦載機岩国移転の前提 山口県議「沖縄にも確認を」

 米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機61機の移転計画を巡り、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設見通しが焦点となっている。山口県はこの見通しが立つことが艦載機受け入れ判断の前提条件とするが、沖縄県は辺野古移設に反対の立場だ。国の見解を文書照会中の山口県に対し、28日の県議会では「沖縄にも確認するべきだ」との意見が相次いだ。(和多正憲)

 県は従来、「普天間移設見通しが立たないうちに艦載機移転のみを切り離して進めることは認められない」との基本スタンスを堅持。村岡嗣政知事は移設見通しについて「艦載機移転の判断と合わせて整理する」とし、国の対応方針と今後の取り組みを外務、防衛両相宛ての26日付文書で確認している。

 この日の一般質問では、沖縄県が移設工事を進める国を相手に、7月にも工事差し止め訴訟を準備している状況に触れ、議員2人が「訴訟で工事が止まれば見通しが立ったと言えないのでは」「沖縄県知事にも確認を」などとただした。これに対し、県は「政府と沖縄で解決すべき問題。沖縄県の意見を聞く考えはない」と答えた。

 普天間移設を巡っては、宮沢博行防衛政務官が5月17日に岩国市の福田良彦市長と面会した際、「艦載機移転のみを進める考えはない」と説明。福田市長は同日、「見通しは立った」との見解を示し、今月23日に移転容認を表明した。

周防大島町長に容認撤回要望書 住民団体

 米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転計画に反対する周防大島町の住民団体「大島の静かな空を守る会」は28日、容認を表明した椎木巧町長宛てに、撤回を求める要望書を提出した。

 要望書では、町長の移転容認表明は、生活の平穏と安全を願う町民への配慮に欠けるとして、取り下げるよう求めている。河井弘志代表委員が、町総務課に提出。同課は「町長に要望書を渡す」としている。

 同会は同日、町民の安心安全を守る立場から県の方針を決定するように求める、村岡嗣政知事宛ての要望書も県にメールで送ったという。

<普天間移設を巡る主な経緯>

2006年
   5月 日米が在日米軍再編最終報告に合意
  09年
   9月 米軍再編見直しを掲げる民主党(当時)中心の政権が発足
  10年
   6月 二井関成知事が「普天間移設の見通しが立たないうちに艦載機移転の      みを切り離しては認められない」との基本スタンスを追加
  12年
  12月 自公政権が発足
  13年
  12月 仲井真弘多沖縄県知事が、普天間移設に向けた政府の辺野古沿岸部埋      め立てを承認
  14年
  11月 沖縄県知事選で辺野古移設に反対する翁長雄志氏が当選
  16年
  12月 翁長知事の辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しについて、最高裁が      「違法」と判断。沖縄県の敗訴が確定
  17年
   2月 政府が辺野古沿岸部の埋め立て工事に着手
   5月 福田良彦岩国市長が辺野古沿岸部などを視察▽宮沢博行防衛政務官が       福田市長に「艦載機移転のみを進める考えはない」と説明。福田市長       が「見通しは立った」と判断
   6月 翁長知事が名護市辺野古移設工事差し止め訴訟を7月に起こすと表明       ▽村岡嗣政知事が普天間移設見通しについて国へ文書で確認

(2017年6月29日朝刊掲載)

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