×

ニュース

傍聴席 「追認」と批判 艦載機移転 知事容認 市町長判断・国説明が道筋

 米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転を巡り、岩国市、周防大島、和木両町と山口県の容認が出そろった30日、村岡嗣政知事は最終的な判断の理由に、「地元の意向尊重」と米軍再編に関する国の説明を挙げた。3市町の判断を追認した想定通りの展開だとして、県議会議場の傍聴席からは批判の声が上がった。(折口慎一郎、原未緒、佐藤憲佑)

 「県として艦載機の移転を容認したい」。この日午前、最大会派の自民党県議の一般質問に答えた村岡知事は、5分余りの答弁で受け入れを表明した。約60人の傍聴席からは拍手も怒号もなし。県労連の宮浜克好事務局長(63)=山口市=は「市町長の判断をなぞるだろうと予想できた。腹は立つが、失望はない」と議場を見詰めた。

 表明の舞台は整えられていた。「地元の意向尊重」を掲げる村岡知事に対し、1週間前の6月23日に福田良彦市長が容認を表明。周辺の周防大島、和木両町長も続いた。

 さらに表明前日の同29日、村岡知事は県庁を訪れた3市町長から直接、容認判断を聞いた。その時点で条件は整ったとみられたが、知事の判断を問う報道陣には答えず、翌30日に県議会で表明した。

 昨年末、岩国基地に最新鋭ステルス戦闘機F35Bを受け入れる際も、村岡知事は福田市長たちの判断を待つ姿勢だった。艦載機受け入れの前提条件となる米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設見通しも「(名護市辺野古への)代替施設建設を着実に進める」とする国の文書回答を直前に受け入れ、「クリアされた」とした。

 この日の知事表明後、反対派の市民団体は抗議活動を展開。正午すぎ、県庁前に約60人が集まり「白紙撤回を」と訴えた。無職尼崎安秀さん(67)=宇部市=は「辺野古移転への反対も根強く、『見通しが立った』とは言えない」と指摘した。

 一般質問はこの日が最終日。容認表明後も自民党県議2人が登壇した。艦載機についての質問はなく、野党が知事の考えをただす機会もなかった。

 最後に登壇した岩国市選出の自民党県議が「基地があっても互いに尊重し、認め合い、共存できることを願う」と発言すると、自民党会派などから拍手が起こった。

(2017年7月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ