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上関 ボーリング開始 中電「地質データ補強」

 中国電力は30日、山口県上関町の上関原発建設予定地で、原発の新規制基準を考慮した新たなボーリング調査を開始した。敷地内でのボーリングは2011年3月の準備工事中断後初めて。既に得ている断層評価のデータを今回の追加の地質調査で補強する。

 初日は、想定する陸域6カ所のうち3カ所で着手。掘削の作業を報道陣に公開した。予定地に上関原発の反対派住民たちの姿はなく、大きな混乱はなかった。

 今回、約1200万~1600万年前にできたとされる地下の鉱物脈の調査に主眼を置く。中断前までの地質調査で「約12万~13万年前以降の活動はない」と判断した二つの断層が対象。断層内の鉱物脈に破壊された形跡がないかを確認し、活動性を評価する。

 原子力規制委員会は、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)や中電島根原発2号機(松江市)など既設原発の審査で、今回の断層評価の手法を採用。中電は昨年8月、上関原発予定地での実施を決めた。調査期間は約1年間。一日3~5メートルのペースで地中約250メートルまで掘り下げ、試料を採取する。

 中電によると、上関原発に関する国の審査は、福島第1原発事故直前の11年3月10日の旧原子力安全・保安院の意見聴取会が最後。政府は新増設を現時点で想定しておらず、審査再開の見通しも立っていない。中電上関原発準備事務所は「万全を期す。いずれ再開してもらえるであろう国の安全審査に向けた調査」と説明した。(井上龍太郎)

(2017年7月1日朝刊掲載)

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