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上関原発予定地ボーリング開始 反対派 「根拠なき調査」 推進派 建設へ議論期待

 2011年3月の福島第1原発事故直後から準備工事の中断が続いてきた中国電力上関原発(上関町)建設計画は30日、新たな局面を迎えた。原発の新規制基準を踏まえたボーリング調査が予定地で始動したためだ。計画反対派が怒りをあらわにする一方、推進派は好意的に受け止めた。

 ボーリングは、中断前の地質調査で「耐震設計上、考慮すべき活断層に該当しない」と判断した断層を追加して調べる。「将来を見据え、万全を期す」とし、評価のデータを補強する狙いがある。

 「論外。福島の事故前のデータへの補強など意味がない」。原発に反対する上関町民の会の山戸孝事務局長(40)は憤る。政府が新増設を現時点で想定していない中での着手。「調査の根拠もない。中電は町民の気持ちを逆なでしている」

 対する推進派。上関町まちづくり連絡協議会の古泉直紀事務局長(58)は「安心安全の確保へ、できる範囲で努力してくれている」とみる。ただ、「計画の進展に直結するものではない」と冷静だ。建設に向けた国レベルでの議論に期待する。

 村岡嗣政知事はこの日、コメントを発表。「今回の調査は原子炉設置許可申請に係る国の審査を念頭に置いたデータ補強を行うため、事業者の判断で実施された」とし、「環境保全措置を確実に実施するなど適切に行ってほしい」と求めた。(井上龍太郎、佐藤正明)

(2017年7月1日朝刊掲載)

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