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防府「戦争語り部」が会報 「安寧」 次代への伝言 初発行

 昨秋に発足し、山口県防府市内の小学校などで講演活動に取り組む「戦争体験語り部会」(防府市)が、初めての会報を作った。元海軍特攻隊員の体験や、食べることにも窮した戦時中の思い出を紹介。「戦争を知らない世代に平和の尊さを感じてほしい」としている。

 タイトルの「安寧(あんねい)」には、「戦争のない穏やかな世の中に」との願いを込めた。B5判、79ページで6月に発行した。

 理事長の青木岩夫さん(84)が同市の華城小で講演した内容や児童の感想を収録。米軍の爆撃で当時20歳の隣人女性を亡くした元防府遺族会長の男性や、大分県宇佐市で特攻隊を支援中、空襲に遭い、同期15人を亡くした福山市の男性たち4人の戦争体験も載せた。

 戦時中、「弾よけ神社」として知られた山口市徳地岸見の三坂神社に奉納され、持ち主が分からない写真の情報提供も募る。

 青木さんは「戦争体験者がどんどん減っている」と危機感を募らせ、昨年10月に会を発足。当初は約110人だった会員は約220人に増えた。体験を後世に伝え残そうと、会報の発行を決めた。500部を作り、市内の小中学校や希望者に無料で配布した。

 青木さんは「教育勅語を巡る議論やテロ等準備罪など、軍国主義に逆戻りしようとしているように感じる。戦争の悲惨さを知ってほしい」と呼び掛けている。同会事務局☎0835(38)2052。(原未緒)

(2017年7月4日朝刊掲載)

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