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「核使用の恐れ高まる」 北朝鮮「ICBM」 中国地方 不安の声

 北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に「成功した」と表明した4日、中国地方の市民からは不安の声が相次いだ。成功が事実なら米朝間の緊張が高まるのは必至で、被爆者は「核兵器が再び使われるのではないか」との懸念を強めた。米軍基地や原子力発電所を抱える自治体の住民は、ミサイルの標的にされる恐怖を口にした。

 「ミサイルが発射されるたびに、不安でいっぱいになる。行動が予測できず、怖い」。広島市西区のパート高橋明美さん(68)は表情を曇らせる。福山市の広島女学院大4年松井千典さん(21)は「実際に落ちてきた時には、どう対応すればいいのか」と困惑する。

 被爆者で、英語で証言を続ける中区の小倉桂子さん(79)は「先制攻撃を辞さない米国の姿勢を思うと、核兵器が再び使われる恐怖が現実味を増した」と危機感を強める。核兵器禁止条約の制定交渉に参加していない日本政府にも「核兵器を北朝鮮への威嚇として使う米国の姿勢を容認している」と不満を募らせた。

 岩国市の米海兵隊岩国基地では、空母艦載機61機の受け入れが近く始まる見通し。同市の理容師浴本孝嘉さん(45)は「米国が北朝鮮への圧力を強めると予想され、ミサイル攻撃の不安は増す」と受け止めた。

 中国電力の島根原発がある松江市。日本海を挟んで北朝鮮と向かい合う。原発の西約1キロの同市片句地区で漁業を営む山本千代則さん(71)は「住民の間でも『北朝鮮の核・ミサイル開発がいっそう進んでいるのでは』と話題になっている。原発が標的になるかもしれず、率直に危険を感じる」と明かした。

 緊迫度を増す北朝鮮情勢へ国際社会がどう対応すべきなのか、シナリオは見通せない。広島市南区の会社員岡山蒼さん(34)は「2歳の子どもがおり、これからも安全に暮らせるのか不安。各国に言い分はあるだろうが、何とか話し合いで解決してほしい」と願った。

(2017年7月5日朝刊掲載)

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