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被爆時の地表面公開へ 原爆資料館敷地の発掘調査 しゃもじ・ガラス片など残る

 原爆資料館(広島市中区)は4日、本館敷地の発掘調査で出土した被爆当時の地表面を11日から東館で公開すると発表した。壊滅的な被害を受けた旧中島地区の人々の営みを物語る貴重な資料で、来年3月までの予定。

 市の委託で発掘に当たった市文化財団によると、地表面は縦60センチ、横約90センチ、厚さ約20センチ。焼け焦げた木製のしゃもじや金属製のふた、熱で溶けたガラス片、建物に使われていたとみられる炭化した木材、赤く焼けた土などが見える。当時は民家や商店が立ち並ぶ繁華街の一角。本館敷地の北東部分で、現在の地表の約75センチ下から出土した。

 本館の耐震改修工事に先立ち、2015年11月からことし3月にかけて発掘調査。今回展示される地表面は、16年3月に切り取り、樹脂などで固める保存処理をした。東館の無料スペースに展示される。

 市文化財団は「部分的ではあるが、市民の暮らしが一瞬にして焼き尽くされた被爆の状況がよく伝わる資料。当時に思いを巡らせてもらいたい」としている。(野田華奈子)

(2017年7月5日朝刊掲載)

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