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「ぎんのすず」 ゆかりのピアノ 広島市が保存へ 「戦後文化振興の史料」

 広島市は、戦後復興期の1950年に児童雑誌「ぎんのすず」の出版社、広島図書が観音小(西区)に贈ったピアノを保存すると決めた。「物がない時代に文化振興に力を入れた、先人の思いが詰まった史料」と評価。5日、安佐北区にある市の収蔵庫に移した。

 1948(昭和23)年ごろに造られたヤマハ製グランドピアノ。側面には「寄贈 昭和二十五年九月二十日 ぎんのすず ヒロト」の文字が残る。脚がぐらつくため、長く弾かれていないものの、歴史資料として保存する意義は大きいと判断した。

 文化振興課の福島忠則学芸員は「ぎんのすず関連は刊行物以外の資料が乏しかっただけに、由来のはっきりしたピアノには歴史的価値がある」と話す。脚を直し、資料展示できるか検討する。

 児童数の増加で、ピアノを保管していた空き教室がなくなり、廃棄を検討していた。同小が音楽家や児童文学者に聞き取りしたところ、同小で開いたコンサートが縁でピアノが贈られたと判明。保存を望む声が出ていた。(馬場洋太)

(2017年7月6日朝刊掲載)

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