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追悼の「被爆証言バー」 広島 冨恵さん仲間が継続

 毎月6日に広島市中区薬研堀のバーで被爆証言会を続けながら、3日に肺がんのため37歳で亡くなった冨恵洋次郎さんに代わり、6日夜、仲間たちの手で会が開かれた。被爆体験を世代を超えて伝えたいという思いを継ぎ、これからも続けていくことを決めた。

 バーには冨恵さんの写真が壁に貼られ、参加者で黙とうをささげて会が始まった。会がスタートした2006年から原爆詩の朗読をして手伝ってきた安佐南区の久保静代さん(66)は冨恵さんが生前、被爆者の思いを代弁した詩を読み上げて故人をしのんだ。10歳の時に爆心地から約1キロで被爆した廿日市市の寺本貴司さん(82)が体験を語った。

 広島で平和活動に携わり、10年前から冨恵さんを知る中区のアーティスト集団代表、安彦(あびこ)恵里香さん(38)は「洋次郎君がいつものように後ろに立って聞いているようだった」と涙ぐんでいた。

 この日の証言会には、入院中の冨恵さんが病を押して参加するはずだったが、かなわなかった。その本人が亡くなる直前までゲラ刷りをチェックしていた自伝の著書は予定通り、20日ごろ出版される。証言会も久保さんたちのほか、本の編集者らが協力して続けるという。(山本祐司)

(2017年7月7日朝刊掲載)

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